正気を高めて【花粉症】に対応

2012年3月

平成24年が明けて早くも3月を迎えました。

暖かい日が多くなり、人々の心も浮き浮きしだす頃ですが、春一番に代表されるように春は強い風が吹くことが難点です。

そこで多くなるのが「花粉症」の人たちです。

鼻がムズムズ、目が痒い、くしゃみが頻発する。はたで見ていても気の毒な程つらい症状を出されています。

 

花粉症の症状に対し、一般的には抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤などで対処するのですが、両薬とも対症療法薬で、花粉症を根治させるものではありません。

そこで対症療法ではなしに、根治療法あるいは根治療法に近いものはないか、ということになりますが、中国医学にはあるのです。
否あるというより中国漢方医学は根治療法を主とした医学なのです。

中国医学に本治(ほんち)という考え方があります。

この「よもやま話」で、すでにご紹介している考え方ですが本治(ほんち)とはまさしく「病気の本」を治すということで花粉症の場合ですと「花粉症を起こす体質」を治すといったら良いでしょう。

花粉症を起こしやすい体質とは中国医学独特の物差しで、肺虚(はいきょ)、脾虚(ひきょ)、腎虚(じんきょ)といった内臓の機能的弱りを指します。

花粉症はこの内臓の虚に乗じて「花粉」という外邪に犯され、発症するのです。 従ってこれら内臓の虚という免疫力の低下がなければ花粉症は起こらないか、起こりにくいということになります。

一方これら内臓の虚はどうして起こるのかというと、体に備わる「正気(せいき)」という根源的なエネルギーの低下により起こってくるのです。 ですから正気が旺盛であれば外部からの邪気に負けることは無いのです。つまり花粉症は発症しないのです。

逆にいえば花粉症の予防は体が持つ正気をいかに高めることができるか、ということに尽きる訳です。

ということで、次に「正気を高める」にはどのような方法があるか、について記したいと思いますが、その前に最近の食生活の誤りにちょっと触れてみましょう。

 

花粉症にかかりやすい体質として、まず消化器系が弱い体質があげられます。消化器系が弱いと食物から正気(気・血・津液・精のトータルな働き)がつくられないのです。

この正気が内臓の働きを養うことになりますので、強い内臓をつくるには正気をつくるのに良い食物を取ることがまず第一前提となります。しかし、現代には正気をつくるのに悪い食物ばかりとっているのです。

 

一例をあげれば
【1】  冷たいもののオンパレード
【2】  水分のとりすぎ
【3】  糖分のとりすぎ
【4】  高脂肪・乳製品
などです。

 

これらはみな消化器系である脾を傷める食物です。

加えて現代人は食物をあまり噛まないで流し込んで食べるという悪癖があります。これらも脾胃の機能を損ねるもととなっていると思われるのです。

そこでこれら弱くなっている正気を高めるにはどのような方法があるか、ということですが、まず食生活の改善です。脾胃の機能を低下させるものを避け、機能を向上させるものをとる、ということです。

脾胃の機能を低下させるものは今まで指摘したとおりで、反対に向上させるものは、食物というより積極的に滋養強壮薬キヨーレオピン・レオピンファイブそしてレオピンロイヤルなどが適切でしょう。

 

また漢方薬では補脾(ほひ)作用、益気健脾(えっきけんぴ)作用のある補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)、参苓白朮散(じんれいびゃくじゅつさん)などが良いでしょう。

 

そしてもうひとつ、外邪(風邪・花粉)を皮膚・粘膜を強めシャットアウトする衛益顆粒(えいえきかりゅう)も根治療法(衛気の強化)のひとつとして忘れてはならない漢方薬です。

 

いずれにしても漢方古典でいう「正気が体の中にあれば外部の邪は体内に入れない」という教えのとおり、花粉症、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患の治療では、正気を高める「本治」が最も重要となってくるのです。

そしてその本治の重要性を知ったうえで標治(ひょうち:局所治療)を併用していけば、より良い治療が構築できるでしょう。

それでは今回はこの辺で。

 

店主(北京中医薬大学日本校卒業)

 

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