2011年11月
秋から冬への移行期である11月を迎えました。
今月のよもやま話は「腰痛」についてです。
当店は鍼灸治療室厚生堂も併設しているため、腰痛の患者様は殊のほか多いです。
私も鍼灸の臨床歴40年近くにもなるので、今まで色々なタイプの腰痛患者様に対応してまいりました。腰痛というと腰椎間の圧迫によるものとの認識が一般的ですが、気候の条件の影響による腰痛、また悪化というケースがあることは意外と知られていません。
今月は秋から冬にかけて発症また悪化しやすい腰痛の対処法につきまして、記していくこととしましょう。宜しくお読みください。
東洋医学では古来より【腰は腎の府】といい、腰と腎は密接に関係している為、腎の衰え(腎虚:じんきょ)は腰痛となって表れやすいと考えられています。従って、腰痛の改善には腎の強化と気血を補うことで体全体の正気を高めることを主眼とするのです。
事実、腰痛の対処には独歩丸(独活寄生湯)という中成薬をよく活用しますが、慢性の腰痛にはかなり手ごたえが良いです。
独歩丸には独活・防風・細辛(消炎鎮痛)・杜仲・桑寄生(腎を補い筋骨を強める)・人参・白朮(気を補う)・当帰・川キュウ・地黄(血を補う)などの生薬が配合されており、全体として慢性の腰痛・関節痛・坐骨神経痛などの疼痛疾患に対応できるようになっているのです。
また秋から冬にかけては冷えと湿気が痛みの原因となる腰痛が多くなります。そのような気候の影響による腰痛にも正気(抵抗力)を高め、邪気(冷え・湿気)を追い出すという意味で独歩丸はおすすめなのです。
日本人の四人に一人が腰に不安を抱え、成人の十人に七人が腰痛の体験者といわれており、そのくらい多い、ある意味ではポピュラーな疾患である腰痛ですが、腰痛に漢方薬が有効であることをご存知の方はまだまだ少ないように感じます。
腰痛でもその原因によってタイプは様々ですが、腰痛で悩んでいる方は漢方薬も一度お試しいただくことをおすすめ致します。
当店では、漢方相談並びに鍼灸も承っておりますので、どうぞお気軽に相談にいらしてください。
店主(北京中医薬大学日本校卒業)