暑い夏の疲れが溜まってくる残暑。
サマータイム導入で早めに仕事を切り上げ、暑気払いにビアガーデン、帰宅したらキンキンに冷えたビールをまず一杯、なんて方も多かったのではないでしょうか。
でもちょっと待ってください。
胃腸と肝臓は悲鳴をあげていませんか?
お酒の本当のところ
『酒は百薬の長』といい、生薬を漬け込んだ薬用酒もあるとおり、体に良いのでは?と思われている方も多いのですが、量と飲み方次第では体に害を及ぼす危険、つまり病気のもとになります。
あなたのお酒の量と飲み方を、まずはチェックしてみましょう。
□ ビールや酒はキンキンに冷やしたものが好き
□ 空腹でもつまみなしで酒を飲む
□ つまみは食べるが高カロリーなつまみが好き
□ ウイスキー・ブランデー・日本酒などアルコール度数の強いお酒が好き
□ 飲むペースが早いといわれる(思う)
□ ほぼ毎日コップ2杯(360ml~400ml)以上は飲む
□ 夜10時以降でも飲んでいる
□ 朝から飲んでいる
□ 糖尿病・脂質異常症の疑いがある
以上の項目に、ひとつでもチェックがつく方は消化器系や肝臓に負担がかかっている可能性があります。
体質的にお酒が苦手な方、お酒に弱い方は、もっと詳細に注意する必要があります。
お酒には以下のような性質があります。
● 熱を生む
● 湿を生む
● 気血をめぐらす
● 胃を温める
冷えをもっている方や寒い季節には、冷えた体を内側から温めるためにお酒は役立ちます。
しかし、熱をもっている方、皮膚疾患のある方、暑い季節(特に日本は高温多湿)にはお酒は害を及ぼすものとなります。
特にキンキンに冷やした日本酒やビールは、まず胃を冷やしてから、熱を生みます。胃腸はビックリです。
冷たい飲みものを一気に飲んだり、脂っこい食べものやアルコールをたくさん取ることは胃腸の力をどんどん弱くさせてしまいます。
中医学書の古典【黄帝内経(こうていだいけい)】にも「最近の人は果汁を飲むように酒を飲んでいる、だから百歳まで健康を保てない」という旨が記載されています。
そして、日本人は世界的に見ても酒量が多いことがわかっています。
世界保健機関(WHO)では飲酒は口腔癌・咽頭癌・喉頭癌・食道癌・肝臓癌・大腸癌と女性の乳癌のリスクを増大するとして警告を発しており、WHO傘下の国際がん研究機関(IARC)ではお酒は発癌性が認められるものとしてIARC発がん性リスクGroup1に分類しています。
日本国内では、祝いの席や行事、慣習などで飲酒の機会が多い為か、喫煙は悪で飲酒は悪とされていませんが、飲酒と喫煙は同じくらい深刻な健康被害をもたらすと、WHOはいっています。
肝の役割
中医学的には『肝は筋を主(つかさど)り、血を蔵し、疏泄(そせつ)を主る、目に開竅し、華は爪にある』といいます。
食べ物は胃から小腸 → 大腸へ送られる流れになっており、アルコールは胃で20%、小腸で80%吸収されて血液に流れ込み、肝臓へと送られます。
肝臓でアルコールはアセトアルデヒドという有害物質に分解され、最終的には炭酸ガスと水に分解され、体外へ排出されます。
飲酒後に、顔が紅くなったり、動悸・頭痛などを感じる方がいます。これをフラッシング反応といい、アセトアルデヒドの分解速度により遺伝的に決定されています。
お酒が強い人はアセトアルデヒド分解速度が速い活性型、お酒が弱い人はアセトアルデヒド分解速度が遅い低活性型、お酒を受け付けない人はアセトアルデヒドをほとんど分解できない非活性型ですから、後者2タイプは特に飲酒量に注意すべきです。
アセトアルデヒドは肝細胞を傷つけ、脂肪の分解を抑制し、まず、脂肪肝を招き、そこからアルコール性脂肪肝やアルコール性肝線維症、肝硬変などの健康被害へとつながっていきます。
肝臓の異常は特に静かに進行していく(サイエントキラー)ものです。自覚症状が少ない分、検査をしっかり受けておくと良いでしょう。
肝臓に脂肪が溜まりやすい、飲酒習慣のある方・多量飲酒する方・閉経後の女性・肥満の方・運動不足の方・脂ものや甘いものが好きな方は特に注意しましょう。脂肪肝の段階でお酒を控えれば、肝臓が健康な状態に戻るとの報告もあります。
※尚、お酒を一切飲まない人も、肥満や生活習慣によって成る脂肪肝(非アルコール性脂肪肝疾患:NAFLD)があります。
肝臓、疲れてるかも?チェック
□ 疲れやすい、朝起きられない
□ 急にお酒がまずく感じる、弱くなる
□ 食欲不振になる、吐き気がある
□ かすみ目、目が見えにくい、ドライアイ
□ おなかが張るようになった
□ 熟睡できない、夢が多くなった
□ イライラしやすい、怒りやすい
□ 顔色や皮膚が青黒い
□ 白目が黄色くなった(黄疸)
上記の項目に心あたりのある方は、早め早めに肝ケアをしていきましょう。
飲みすぎた時のセルフケア
●おなかや背中に痛みがある
●嘔吐がとまらない
●呼びかけに応えない
以上のような症状がある場合は、速やかに病院に行きましょう。
*飲みすぎた時には体内にあるアルコールを速やかに体外へ排出する必要がありため、水をたくさん飲む。
*アルコール分解時に発生する活性酸素を抑えるため、抗酸化ビタミンを多く含む食べ物を摂る。
*健胃作用・胃粘膜を修復する目的の漢方薬や胃腸薬を飲む。
ことが大切なセルフケアです。
お酒を飲む方の間で話題のタウリンとはアミノ酸の一種です。
タウリンには「肝臓の細胞を保護する」「細胞を傷つける活性酸化を除去し、脂肪肝を予防する」「胆汁の分泌を促し、過剰なコレステロールを排出する」「アミノ酸としてたんぱく質の合成を改善する」といった働きがあります。
タウリンは、海老・イカ・タコ・しじみ・はまぐりといった魚介類に多く含まれています。
二日酔いにはしじみ汁と言いますが、味噌もポイントです。
大豆レシチンが脂肪の代謝を良くするので脂肪肝を防ぐ働きがあるのです。
また、冷たいものの飲食は胃腸に負担をかけます。温かい食事を心がけましょう。
お助け漢方薬&サプリメント
日ごろから肝機能を正常化しておく
田七人参・ウコン・五苓散・黄連解毒湯など
飲みすぎてしまったら・・・
竜胆瀉肝湯・五苓散・黄連解毒湯など
飲酒によって失いすぎた水分、ミネラル補給に
イーパオ(益宝)・牡蠣製剤など
消化不良、胃炎、胃痛に
健胃顆粒(香砂六君子湯)、補中丸、晶三仙など
※あなたの体の状態にあわせて漢方薬またはサプリメントのご提案をしております。お気軽にご相談ください。
楽しいお酒の肴には焼き魚、納豆、こんにゃく、キャベツ、アスパラガス、大根、三つ葉、かぼちゃ、ごぼう、さやえんどう、えのき、しめじ、そら豆、白菜、れんこん、などがオススメです。
どうしても脂っこいもの、塩辛いものを食べてしまう、という方は、食後にりんごやみかんをたくさん食べてください。
胃がもたれる、胃痛・胸やけ、調子が悪い、肝機能が気になる、という方は是非、お気軽にご来店・ご相談ください♪