不妊原因が男性50%女性50%で半々である現代、赤ちゃんが欲しいご夫婦とも健康な体を作っていくと良いでしょう。
晩婚化が進んでいますが、精子に問題があると指摘されるのは、何も加齢の方ばかりでもありません。年齢に伴わない老化現象というケースもありますし、心的ストレス、過労、乱れた食生活、不規則な生活習慣、飲酒、喫煙などによる不健康がそもそもの場合もあります。
あなたの精子は元気ですか?
まずは、精子と精液の異常による不妊について、下の「WHO基準1999年精液検査評価」表をご参考ください。
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●精液減少症・・・1回の精液量 2ml 以下で精液過小により妊娠できない事。
●乏精子症・・・1回の精子濃度 2000万/ml 以下で精子数過小により妊娠できない事。
男性不妊因子には腎陽虚(じんようきょ)、脾腎陽虚(ひじんようきょ)、腎陰虚(じんいんきょ)、湿熱(しつねつ)、痰湿(たんしつ)、気滞血お(きたいけつお)、肝鬱気滞(かんうつきたい)、精気不足・気血不足(せいきぶそく・きけつぶそく)、といった多様なタイプがあります。
まずは腎の機能低下を改善しましょう
中医学でいう腎とは、生長・発育・生殖を主るものです。精子の数の減少、質の低下、活動能力の低下を予防・改善するため、つまり精子が元気になるためには、まずは腎の機能がキチンと働いてくれることが不可欠といえます。
腎の力が弱い場合、以下のような症状が表れやすくなります。
【腎陽虚】
冷え性、冷えを感じる、頻尿、夜間尿、失禁
腰やひざがだるい、足に力が入らない
インポテンツ(精力減退)、早漏、乏精子症
運動率低下、死滅精子が多い
また同時に脾の力も弱まっていると【脾腎陽虚】となり、上記に以下の症状がプラスされます。
むくみやすい、浮腫、食欲不振
性欲低下、精液稀薄、奇形率が高い
そして冷えではなくほてりを感じる方は【腎陰虚】で、以下の症状が表れやすくなります。
ほてり、のぼせ、口やのどが渇く
寝汗がある、不眠、多夢
勃起頻発で性欲亢進、早漏、遺精、精液減少
運動率低下、死滅精子が多い、精液不液化
水はけを良くして精子の通りをスムーズに
体内に余分な熱と水分が滞ってしまっている状態を湿熱(しつねつ)といいます。湿熱は精子の運搬、通過障害、精子を運搬する通路が炎症により閉鎖される、といった現象につながります。
湿熱は多くの場合、生活習慣と食生活に起因します。
タバコの吸いすぎ、お酒の飲みすぎ
冷たいものの食べすぎ、飲みすぎ
刺身や寿司、サラダ、果物といった生もの食
エアコンの効いた部屋に長時間いる
過労や寝不足が続く
ストレスを感じても、長期間解消できていない
こうした生活習慣と食生活が体内に余分な熱と湿を溜め込んでしまいます。
湿熱がたまると以下のような症状が表れやすくなります。
暑がりで、ほてりやのぼせを感じる
口やのどが渇くが、飲んでも渇きが消えない
舌が紅く、舌に白いコケがある
口が粘り、口臭や口内炎がある
軟便または下痢、べったりした便
食欲旺盛で興奮しやすい
吹き出物ができやすい、傷が化膿しやすい
日々の生活養生法
1.規則の正しい生活をし、十分な睡眠時間の確保(→腎気と精気を守る)
2.適度に運動をし、上手に気分転換する(→気血津液のめぐりを良くする)
3.油っこいものや辛いものを控えめ(→脾胃、肝胆、腎を守る)
4.アルコールやたばこを控えめ(→肝腎、肺を守る)
5.新鮮な野菜を増やし、積極的に水分をとる(→津液を増やす)
6.和食中心、腹八分目、鶏肉や魚のスープをとる(→気血津液、腎精を作る)
7.性生活の節制(→腎精を守る) ※精子を溜めすぎてもよくない
8.熱いお風呂を避け、ぬるま湯にする(→腎精を守る)
9.適度にやさしい日光を浴びる(→全身の陽気を高める)
※ 精子は常に作られており、精巣に溜められています。溜まった精子が射精により出るのですが、溜めれば溜めるほど古い精子となり、精子の量は増えますが質は低下します。古い精子から順次出て行くので、禁欲期間が長ければ長いほど、元気のない精子になると思って頂ければと思います。
排卵日に合わせて月に一回の射精では、なかなか妊娠には結びつかないと思います。週に一回か二週間に一回は射精をして、常に新しい、元気のある精子にしておくと良いでしょう。
お助け漢方薬&サプリメント
★腎陽虚(じんようきょ)
海馬補腎丸(かいまほじんがん)、参馬補腎丸(じんばほじんがん)、また胎盤エキス(プラセンタ)やイーパオなど
★脾腎陽虚(ひじんようきょ)
海馬補腎丸(かいまほじんがん)、参馬補腎丸(じんばほじんがん)、至宝三鞭丸(しほうさんべんがん)、健胃顆粒(けんいかりゅう)、健脾散エキス細粒(けんぴさんえきすかりゅう)など
★腎陰虚(じんいんきょ)
六味地黄丸(ろくみじおうがん)、瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)、杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)など
★湿熱(しつねつ)
潟火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)、瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)など
※あなたの体の状態にあわせて漢方薬またはサプリメントのご提案をしております。お気軽にご相談ください。
同類相補という考え
中国漢方には同類相補(機能や形などが似たもので補うこと)という考え方があります。
「精子の数を増やし運動率を良くする」と以前マスコミで大々的に報じられたことのある補中益気湯(ほちゅうえっきとう) は、第一段階に使う漢方薬ですが、本格的に対応する場合、補腎薬である海馬補腎丸(かいまほじんがん)や至宝三鞭丸(しほうさんべんがん)などを使います。
海馬補腎丸は海馬・鹿茸・鹿腎などの動物性生薬が多く配合されている腎陽に優れた漢方薬ですが、作用が強いので服用量などで調整する必要があります。
至宝三鞭丸(しほうさんべんがん)はオットセイや鹿の睾丸を含む37種類の生薬で構成されておりこちらも腎陽に優れた漢方薬ですが普段からのぼせ・高血圧などがある方には注意が必要となります。
繰り返しになりますが、漢方薬は医薬品です。
決して個人の判断で服用せず、正しい漢方知識をもつ専門スタッフにご相談のうえ適切にご活用ください。
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