2012年7月
7月となりました。
7月は前半が梅雨、後半が暑熱、というように湿邪と暑邪に影響されやすい季節です。
漢方では湿邪は脾を、暑邪は心を侵すということになっておりますので、消化器系の弱い人、また循環器系に問題がある人は充分注意いたしましょう。
さて、梅雨から夏にかけて体調を崩すタイプは次の2つに分けられます。
1つは、梅雨時から体調が悪くなるタイプで、このタイプの方はもともと胃腸が弱い方に多く、湿邪が脾胃にとりつくため、津液を排出する機能が低下し、不必要な水分を溜めて体調を崩すタイプです。
2つめは、夏の間は元気に活動して、秋口にガクっと体調を崩すタイプで、夏の暑さにより気と陰液を消耗し、体内の熱をさばききれず体調を崩すタイプです。
このように単に体調を崩すといっても、そのタイプにより原因が異なり、用いる漢方薬も異なってきますので、漢方薬を用いる場合は私たち専門家によくご相談ください。
それでは2つのタイプはどの様な症状の違いがあるのか、記してみましょう。
【1】 梅雨時から夏にかけ体調を崩すタイプ
[ 特徴 ]
胃腸がすぐれない
体が重い
だるい
足がむくみやすい
【2】 秋に疲れが出る気陰両虚タイプ
[ 特徴 ]
疲れやすい
息が切れる
体がほてる
熱中症になりやすい
次に上記2つのタイプの改善方法ですが、前者は湿邪による脾胃の水湿阻滞(すいしつそたい)ですので、水湿を去湿(きょしつ)する漢方薬ということになります。それには平胃散(へいいさん)、胃苓湯(いれいとう)などの漢方薬が適します。また、脾胃そのものの機能を高める六君子湯(りっくんしとう)、香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)も適応しますので試してみたらいかがでしょう。
後者は気陰両虚(きいんりょうきょ)タイプです。体内の気不足・陰(津液)不足ですので、漢方薬としては麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)、清暑益気湯(せいしょえっきとう)などが適応します。
面白いもので、現代医学では脾胃の水湿阻滞という病症もなければ、気陰両虚という病態もありません。また薬もありません。
前記2タイプは漢方、とりわけ中医学(中国医学)独特の概念で、中医学の病態の読みの深さに今更ながら驚くばかりです。
それと、タイプ別に分けることもなく、一般的には当店取り扱いの滋養強壮剤【レオピンファイブネオ】が脾胃を強壮し、体力抵抗力を増強しますので、有効なのは申すまでもないことです。
それでは最後に前記漢方処方の処方内容を記しておきますので、服用の際の参考になさってください。
平胃散 (へいいさん) |
蒼朮、厚朴、陳皮、甘草、生姜、大棗 (湿邪が脾胃に停滞した病症に) |
胃苓湯 (いれいとう) |
蒼朮、厚朴、陳皮、沢瀉、猪苓、茯苓、白朮、桂枝、生姜、大棗、甘草 (水湿が停滞することによって生じた下痢症状に) |
六君子湯 (りっくんしとう) |
人参、白朮、茯苓、甘草、陳皮、生姜、大棗 (気虚による食欲不振に) |
香砂六君子湯 (こうしゃりっくんしとう) |
六君子湯 + 木香、縮砂 (六君子湯を強化した処方) |
麦味参顆粒 (ばくみさんかりゅう) |
麦門冬、五味子、人参 (気陰両虚の夏まけに) |
清暑益気湯 (せいしょえっきとう) |
人参、白朮、甘草、当帰、陳皮、麦門冬、五味子、黄柏 (気陰両虚の夏まけ夏やせに) |
店主(北京中医薬大学日本校卒業)