2012年6月
6月となりました。
6月といえば梅雨の季節ですね。ジメジメ・ジトジト、うっとうしい季節です。
実際雨が続く期間は、6月中旬から7月中旬にかけての一ヶ月くらいですが、特に胃腸の弱い方にとっては体調を崩す時期ですので、充分に注意したいものです。
それでは、梅雨の期の健康管理について記してみることといたしましょう。
梅雨の期は当然ながら、雨が多く湿度が高くなります。
漢方では体に影響する環境因子を六淫(りくいん)と呼び、「風」「寒」「暑」「湿」「燥」「火」の6種類に分類しておりますが、梅雨時に問題となるのが、このうちの湿です。
漢方では、これ等自然の気が人間の体を犯すようになると「邪気」と呼ぶようになるのですが、梅雨期の邪気は湿邪(しつじゃ)です。
湿邪(しつじゃ)の特徴は、胃腸の機能に悪影響を与えることと、気の流れを邪魔することです。
また、普段から胃腸が弱くて体内に余分な湿を抱えている方は余計に湿邪(しつじゃ)の影響を受けやすくなります。
湿邪(しつじゃ)の影響で起こりやすい症状としては、
体が重だるい
顔や手足がむくむ
食欲不振や食後におなかが張る
口の中が粘る
などですが、湿邪(しつじゃ)による影響の特徴は「沈重性」なので、「重い」「だるい」という症状があったら湿邪(しつじゃ)を疑ってほぼ間違いないでしょう。
それでは、これ等湿邪(しつじゃ)に犯されやすい梅雨期には、どのように健康を管理すべきなのか、次に記してみることといたしましょう。
梅雨期の養生法としては、まず生ものや冷たいものを極力控えて胃腸の陽気(動かす気)を守ることです。
それでなくても、現代の日本人の食生活は「生冷過食(せいれいかしょく)」といって、生ものや冷たいものを摂りすぎています。この梅雨の時期は温かくて消化の良い食事を心がけることが重要です。
また、脂っこいもの、味の濃いものを食べ過ぎないこと、水分を摂り過ぎないこと(特に夕食から夜間にかけては)も、注意が必要です。
この時期の食養生としては、水はけを良くする食材、つまり緑豆、もやし、緑豆春雨、さつまいも、山芋、冬瓜などで水の停滞をつくらないようにしましょう。
以上が梅雨期の養生の主なものですが、更に積極的に湿邪(しつじゃ)から体を守ろうとするのであれば、やはり漢方薬が助けになってくれます。
★梅雨期におすすめの漢方薬★
香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)
平胃散(へいいさん)
勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)
など
今回は上記の中の勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)について少し解説いたしましょう。
まずその組成ですが、勝湿顆粒は、カッコウ・紫蘇葉(シソヨウ)・ビャクシ・桔梗(キキョウ)・大腹皮(ダイフクヒ)・陳皮(チンピ)・白朮(ビャクジュツ)・甘草(カンゾウ)・生姜(ショウキョウ)・半夏(ハンゲ)・茯苓(ブクリョウ)の12味で成り立っています。
効能としては
解表化湿(げひょうかしつ):表邪の発散及び体内の湿邪を除去する。
理気和中(りきわちゅう):中焦に湿が停滞し、気の流れが塞がれた状態を改善する。
悪心、腹痛、下痢、腹部膨満感、体が重だるい、食欲不振、口が粘る、などの症状を呈する時に非常に役立つ漢方薬です。
いずれにしましても、高温多湿な日本でこそ、利用価値の高い処方といえますし、特に普段から胃腸が弱い方で、胃腸に水滞を溜め込んでいる方へは、この時期、勝湿顆粒などの漢方薬の力を借りて、健康管理を図ってみてはいかがでしょう。
それでは今回はこの辺で。
店主(北京中医薬大学日本校卒業)