2013年3月
3月となりました。
今回は癌との付き合い方・・・その3です。
癌は中国漢方医学ではどのように考えているのか。今回もその辺のところから紐解いてゆくことといたしましょう。
さて、癌発生のメカニズムですが、癌は現代医学では細胞の遺伝子異常によって起こった細胞の形態異常、及び機能喪失とされていますが、中国漢方医学では人体の正気(せいき:抵抗力)が衰えている状態に、様々な邪気(体にとって有害なもの)が凝結して出来上がった「塊」と考えております。
そして、その実邪(発病因子)を気滞(生理機能や情緒活動の停滞)、オ血(おけつ:血行不良)、痰湿(体に余分な水分が溜まっている状態)、及び毒熱(発熱系の病毒素)としているのです。
つまり、癌は人体内を流れる気・血・津液の流れの異常及びその停滞、そして病毒系の熱毒により生じた塊と捉えているのです。
ですから、気・血・津液の流れを悪くするもの(例えばストレス)は、当然避けなければいけません。
また、過度にイライラする、心配する(七情の過不足)なども慎まねばなりません。
それと同時に、漢方医学では癌を発生させる要因として正気の虚を提示しております。
正気すなわち抵抗力の低下があって、邪実が回復せずに進んでゆくと考えているです。
ですから、漢方医学の対応の基本は「扶正去邪(ふせいきょじゃ)」、正気を助け、邪気を取り去ることを主要課題としております。
漢方医学では「正気が体内に充分あれば邪気は広がらない」という考え方がありますが、この場合、正気とはその人が持つ抵抗力、免疫力を指し、また邪気とは体内で発生する有害な病理産物、つまり、気滞、?血(おけつ)、痰湿、毒熱(発病系の病毒素)等をいいます。
つまり体に免疫力があれば邪気は出来難いし、また出来たとしても広がらない、と考えているのです。
中国漢方医学でいう正気とは、人体を構成する気・血・津液・精などのトータルな働きを指し、これ等、気・血・津液・精などが不足した状態、つまり気虚・血虚・津液不足・精不足などのトータルな作用不足を、正気が虚した状態と考えているのです。
人体は加齢や日々の飲食の不摂生、また悪い生活習慣、過度の神経疲労などによって、この正気の量を低下させてゆくものです。
そして正気の不足状態が長くなると、内臓の機能は低下し、気血の流れが妨害され、腫瘤(病的なしこり)が発生しやすくなるのです。
おおまかに言って、これが漢方医学での癌の病理です。
現代は文明が進歩し、便利になった反面、余りにも予防・養生意識が希薄となりました。
癌を防ぎたいのであれば、まず日常の生活のあり方から見直してみるべきでしょう。
それではまた来月。
店主(北京中医薬大学日本校卒業)