2012年8月
一年で最も暑い8月を迎えました。
東洋医学では夏は春(生)、夏(長)、秋(収)、冬(蔵)という自然のサイクルのうち、春蒔いた種が長ずる(繁茂する)季で、8月は長じたものがその極に達する時期です。
従って、暑さもその極に達するので暑さ負けなどしないよう充分注意いたしましょう。
暑さのなか、最も注意しなければならないのはやはり熱中症です。
熱中症は近年かかる方が急速に増えてきた症状で、昨年はかなり救急車で運ばれた方が多かったようです。
さて、熱中症とはどのようなものであるのか?
今回はこのようなところから紐解いてゆくことと致しましょう。
熱中症とは、人間が本来もっている暑い環境下においても体温を一定に保つよう体内の熱を上手く発散させる仕組みが狂わされ、暑さに上手く対処出来なくなった状態、と定義することが出来ます。
まず始めにその症状ですが、症状は一般的には軽度から重度までを3段階に分けて分類します。
【症状】
Ⅰ度: めまい、立ちくらみ、こむら返り、大量の汗
Ⅱ度: 頭痛、吐き気、体がだるい、力が入らない、集中力や判断力の低下
Ⅲ度: 意識障害(呼びかけに対し反応がおかしい)、痙攣、運動障害(普段通りに歩けない)
次にどんな時が危ないか?ですが
【条件】
気温が高い、湿度が高い、日差しが強い
急に暑くなる時期(梅雨明けなど)
最後にどんな人がなりやすいのか?ですが
普段から運動していない人
暑さに慣れていない人
心臓疾患や糖尿病などの疾患のある人
脱状態にある人
高齢者
肥満の人
などです。
さて、このような熱中症を予防するためにはどのような策があるでしょうか。
一般的には室内ではエアコンをかける、又水分をこまめにとる、などが予防策としていわれているようですが、漢方的には夏は潤い(陰液)とエネルギー(気)を消耗しやすい時期なので、体にこもりがちな熱を上手に冷ましながら、汗で失われる潤いとエネルギーを補給する(気陰双補)ことが大切なのです。
このような目的に適う漢方薬として生脈散(しょうみゃくさん)、そして西洋人参(せいようにんじん)があります。
ですから戸外でスポーツをする方、戸外で働く方、またお年寄りの方などは、この夏は熱中症予防として今から生脈散(しょうみゃくさん)、西洋人参(せいようにんじん)をおすすめ致します。
この他、補気(ほき)・清熱(せいねつ)・開竅(かいきょう)の効能を持つ人参牛黄(にんじんごおう)なども予防の漢方としてよく用いられているようです。
地球環境が温暖化となり、エアコンの温風で益々暑くなっている夏、あなたも漢方の知恵を上手に活用して予防してみませんか?
店主(北京中医薬大学日本校卒業)