暑邪(しょじゃ)による体液消耗、血液粘度上昇には?

2010年8月        

梅雨も明け、間もなく8月を迎えます。8月は暑さが最もピークを迎える時です。

我々が10代、20代初期頃はエアコンが無かった為か、旧盆を迎える頃は、暑さで体がバテバテだったのを思い出します。

つまりエアコンが無かった時代の7月、8月の季節的特徴は、暑さ・汗・心臓・冷たい飲物・胃腸障害・食欲不振・倦怠感などに代表される、ということになります。

中医学(中国漢方医学)に五行論という考え方があります。

人体そして自然の事象を5つのカテゴリーから説明しようというもので、この五行論に習熟してくると実に多くの関連性が理解できるようになりますし、人体の生理、病気の病理なども良く分ってくるのです。

ということで五行論から夏のキーワードを解明して行くと・・・

 

【五行色体表】
 五季     春・夏・長夏・秋・冬

 五臓     肝・心・脾・肺・腎

 五悪     風・熱・湿・燥・寒

 五液     泣(涙)・汗・涎(よだれ)・涕(はなみず)・唾(つば)

 

上記の表で、まず五季の「夏」を見ていただきましょう。

そしてさらに「夏」を下に下りて行くと「夏 → 心 → 熱 → 汗」というつながりが夏という季に関係する事象であると分るのではないでしょうか。

次に長夏の項を見て下さい。

「長夏  →  脾  →  湿  →  涎」となっておりますね。

つまり夏は暑熱の季であり、暑熱によって汗をかく、汗をかくと心臓に負担がかかる、一方夏は暑いので冷たい物を良く飲む、冷たい物を良く飲むことによって脾に負担がかかる、という関連が理解出来ますね。

この様に夏は「暑邪」そして「水湿(すいしつ)の邪気(じゃき)」によって「心臓」そして「消化器系統」が故障を起こしやすくなるのです。

という事で標題の解説に入って行く事と致しましょう。

中国漢方医学では大量の発汗は体液を消耗するだけでなく、汗とともに体の中の気(エネルギー)が漏れ出る、と考えております。

つまり体の構成成分である「気・血・津液(しんえき)・精」の中の「気」と「津液(体液)」の両方を消耗すると考えるのです。

そして気を消耗すると心臓の機能を弱めることになり、脈拍が弱くなったり、不整脈・動悸・息切れといった症状も現れる様になるのです。

更に発汗により血液が濃くなる為、血栓が出来易くなり、脳梗塞・心筋梗塞などの梗塞系の疾患も起こり易くなりますので注意しなければなりません。

そこでそれ等の症状、疾患が起こらない様予防する為には「麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)」そして「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」を併せて服用する事をおすすめしています。

麦味参顆粒は気を補い体力をつける人参と、体液を増し濃くなった血液を薄める麦門冬(ばくもんとう)、皮膚の表面から汗と気が漏れるのを防ぐ五味子(ごみし)から成る漢方薬ですが、漢方の本場、中国では麦味参(原方名は生脈散しょうみゃくさん)は注射剤として心疾患患者に使われている有名な処方です。

又、冠元顆粒も中国で狭心症・心筋梗塞などの予防・治療薬として開発されたもの(原方名は冠心二号方かんしんにごうほう)ですし、心疾患の治療薬、又活血化お薬(かっけつかおやく=ドロドロ血をサラサラに)として日本国内でも有名な処方です。

ともかく「備えあれば憂いなし」、平素高血圧の方、外で作業される方、スポーツをやられる学生さん、ゴルフをやられる方などは予防の為、夏期期間だけでも上記二方を服用される事をおすすめします。

また夏は前記した様に水分と冷たいものの摂取過多により脾を傷めますね。 その様な時は滋養強壮剤「レオピンファイブ」又は「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」「六君子湯(りっくんしとう)」などの漢方薬がおすすめです。

それでは夏を元気に乗り切って下さい。

又来月!

 

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