熱中症の漢方的対応

2013年8月

7月後半から8月旧盆頃までは夏真っ盛りです。

暑い夏の心配は熱中症に罹る事です。最近は夏でなくても熱中症に罹る人がおりますが、圧倒的に多いのはやはり暑い夏です。

という事で、今回は熱中症の漢方的対応について書いていきたいと思います。

 

まず、最初に熱中症とはどの様な身体症状を起こす疾患なのか、という事ですが、体温の上昇により体内の水分や塩分が低下し、脳への血流も不足してその機能まで低下してしまう状態です。

又、炎天下だけでなく、直接日光にあたらない室内や車内、更には職場内でも起こりうるものです。

そして、体液が不足している高齢者や代謝が盛んな乳幼児、下痢や発熱中の人も熱中症に罹りやすいので、夏は注意が必要です。

という事で、次に漢方的には熱中症をどの様に考えているのか、に移っていきましょう。

 

まず、夏と臓腑の関係ですが、漢方医学では夏と心臓は関係があり、更にまたとも関係があると考えています。
これは『五行説』という漢方独自の考え方なのですが、病気の原因、病態を理解するうえで欠かせない考え方です。

この五行説から熱中症を考えると、熱中症は、「」の邪気(人体を損なう気)に人体が中(あ)てられ、心臓が異常変調を起こした病態、また、暑邪によりをかき過ぎた事により心機能が消耗し、身体が異常事態を起こした病態といえるのでは、と思います。

ですから、人体は一種のサウナの中状態となり、体液は減少し、熱がこもった状態となり、心臓と脳がダメージを受け、意識がもうろうとしてくるのです。

それでは熱中症を漢方的にはどの様に対応するのか、次に記してみましょう。

 

熱中症を漢方的に考えると、熱による急激な体温の上昇により、様々な症状を起こす暑熱証という場合と、大量の発汗による水分とエネルギーの消耗の気陰両虚証という場合に分けて対応致します。

 

岡田厚生堂薬局  暑熱証
炎天下の外出で、急激に身体に熱がこもると、体温が上昇し中枢機能に影響し、ぐったりとして、重症の場合には意識障害なども起こります。その様な時には適切な処置を行うと共に、身体の熱を冷まし清熱解毒に働く五涼華(ごりょうか)がオススメです。心配な方へは、真夏の外出の前後にぜひ飲んでおいて頂きたい、オリエンタルハーブティーです。

岡田厚生堂薬局  気陰両虚証
大量の発汗による脱水では、身体に必要な水分だけでなく、気(エネルギー)までも失われてしまうため、疲労倦怠感、動悸、息切れ、口渇、めまい、などが表れます。
この場合には、身体に必要な水分を生み出し、必要以上の発汗を抑え、益気養陰(えっきよういん)に働く麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)清暑益気湯(せいしょえっきとう)などが効果的です。

 

その他、暑熱侵入へは、白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)黄連解毒湯(おうれんげどくとう)を、暑湿侵入へは、香蘇散(こうそさん)胃苓湯(いれいとう)勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)が、熱中症の状態に応じて使用する漢方薬となります。

 

そして最後にお伝えしたい事は、熱中症に罹らないコツは、夏の間は滋養強壮剤『レオピンファイブネオ』または人参牛黄(にんじんごおう)などを服用し、外出時には人参牛黄(にんじんごおう)などの牛黄製剤を携帯し、いざという時に即服用することです。

 

それでは今月はこの辺で。
暑い夏くれぐれもお体ご自愛ください  岡田厚生堂薬局

 

店主(北京中医薬大学日本校卒業)

 

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