更年期、というのは子どもを産む期間から産まなくなる期間への移行期にあたります。
中医学では女性は7の倍数で、男性は8の倍数の年に変化を迎えると考えます。(※下図参照)
女性は閉経すると子どもを産めませんので、時期の検討はおおよそつきます(49歳閉経とすると前後5年なので44歳~54歳くらいの期間が更年期)が、男性は閉経がないので実感がわきにくいというのが現状のようです。
『男性はいくつになっても子どもを産める』と思っておられる方も多いようですが、男性にも更年期は存在しています。
男性は32歳頃にピークを迎え、40歳頃から序々に腎精が衰えはじめます。56歳で精が著しく減少、64歳で陽気が枯渇、歯も髪も抜け、子どももできなくなる。といった流れがあります。
もちろん個人差はありますが、おおよそ56歳の前後5年間にあたる、51歳~61歳頃が更年期にあたると考えられます。
更年期のサインを見逃さない!
更年期に訪れるさまざまな症状、更年期障害の大きな原因はホルモンバランスの崩れによるものです。
まず
性欲減退
が大きなサインとなるでしょう。
次に、
しょっちゅうイライラする
頭がぼうっとしてやる気がなくなる
といった症状がプラスオンで表れてきます。
「イライラする」と「やる気が失せる」という相反した状態は、明らかにバランスの乱れを意味しています。
更年期に表れやすい症状としては、他にも以下のようなものがあります。
めまい、ほてり、のぼせ
頭痛、肩こり
頻尿、排尿障害
発汗
動悸、不安感
記憶力、集中力の低下
不眠、睡眠障害
うつ
女性より更年期のサインがわかりにくい為もあってか、男性の更年期は重症化しやすい傾向にあるといえます。早め早めに対応しておくことが穏やかな更年期、幸せな年を重ねる事につながります。
中医学で考える男性更年期のタイプ別対処法
イライラ肝(かん)タイプ
肝(かん)の機能が失調すると、頭痛や筋肉の痙攣、手足のしびれ、爪が割れる、しょっちゅうイライラする、怒りっぽい、また目は肝血(かんけつ)をたくさん使う為に、目に症状がよく表れます。かすみ目、疲れ目、目がしょぼしょぼする、といった具合です。
【治法】
* 安神養血(あんじんようけつ)
* 養肝明目(ようかんめいもく)
* 平肝潜陽(ひらかんせんよう)
おすすめの食べもの
ほうれん草・鶏レバー・かつお・まぐろ・プルーン・くこの実・なつめ・人参・葡萄・ライチなど
代表的な漢方薬
婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)・冠元顆粒(かんげんかりゅう)・参茸補血丸(さんじょうほけつがん)・逍遙丸(しょうようがん)・天王補心丹(てんのうほしんたん)・シベリア人参等
疲れやすい脾(ひ)タイプ
消化器系の脾(ひ)の機能が失調すると、食欲不振、味覚障害、といった口の症状に、疲れやすい、胃腸が弱い、胃もたれ、むくみといった症状が表れます。脾弱(ひよわ)という言葉があるように脾の機能が低下して間もなくすると、病気にかかりやすくなったり、痩せていきます。
【治法】
* 補気補脾(ほきほひ)
* 補気健脾(ほきけんぴ)
おすすめの食べもの
粟、小麦、烏骨鶏、大豆、山芋、サトイモ、かぼちゃ、人参、キャベツ、白菜、なつめ、桃など
代表的な漢方薬
補中丸(ほちゅうがん)・柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)・健胃顆粒(けんいかりゅう)等
老化のはじまり腎(じん)タイプ
成長、生殖、老化といったホルモン系の働きを担う腎(じん)の機能が失調すると、簡単にいうと老化現象が表れてきます。
性欲減退はもちろんのこと、夜間尿・頻尿といった尿トラブル、耳鳴り・聞こえにくいといった耳の不調、腰痛・関節痛・骨折などの骨のトラブル、そして忘れやすい・集中できない、といった脳の機能低下です。
【治法】
* 補腎益精(ほじんえきせい)
* 補腎固摂(ほじんこせつ)
* 滋補腎陰(じほじんいん)
おすすめの食べもの
スッポン、ナマコ、海老、羊肉、山芋、黒きくらげ、黒ごま、くるみ、ニラなど
代表的な漢方薬
八仙丸(はっせんがん)・金匱腎気丸(きんきじんきがん:八味地黄丸・八味丸)・至宝三鞭丸(しほうさんべんがん)・桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)・双料参茸丸(そうりょうさんじょうがん)等
食生活・生活習慣の改善ポイント
更年期は一時的なもので、必ず終わるものです。
乳児期 → 幼児期 → 思春期 → 成人期 → 壮年期 → 更年期 → 老年期、といった一連のライフサイクルのなかの一つの期間ですので、いつかは過ぎていくのです。
ですから、驚いたり悩んだり苦労するのではなく、受け入れて過ごすのが良いでしょう。元気で笑顔で更年期を過ごす為のポイントをいくつかご紹介します。
冷たいもの、刺激物の飲食を控える
生肉、お刺身など生ものの食事は控える
煮物など、消化の良い食べものを温かい状態で食べる
暴飲暴食はせず、腹七分目を心がける
お酒はコップ1杯まで、飲み過ぎない
禁煙がベスト!
夜更かしをせず、睡眠は十分にとる
ストレスはその日のうちに解消!
趣味をもつ
よく歩くこと、階段を使う、電車中では立つ
エアコンの多用を控える
食事の時間、起床の時間など、生活のリズムを整える
病院のお薬とも併用できます。
中医学の知恵を併用することで、良い改善が期待できます。
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