2011年3月
寒かった2月を越し、3月を迎えました。
陰の気が盛んだった自然界には、陽の気が出始め、明るい春を迎えます。
しかし自然界の変化とは裏腹に人体では花粉症・アレルギー性鼻炎をはじめとするアレルギー疾患が出始める3月期でもあります。最近のアレルギー性疾患を持っている方の多さには目を見張るものがあります。
なぜ、アレルギーの方がこのように多くなってきたのでしょうか。
皆様は恐らく花粉症の原因がスギやヒノキの花粉、そしてアレルギー性鼻炎の原因がダニやハウスダストといわれるほこり、またアトピー性皮膚炎・ぜんそくの原因がある種の食べ物や化学物質によって起こる、と考えているのではないでしょうか。
実は中医学(中国漢方)的には、そうではないと考えるのです。
花粉症・アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎・ぜんそく、についての原因をみなさん外部に求めていますが、中医学ではむしろアレルギーをおこす「体」のひずみそのものに原因を求めているのです。
では、アレルギーを起こす人の体質にどのような変化が起きているのか、次に記してみることにしましょう。
今なぜアレルギー性疾患が多くなってきたのか
日本でアレルギー性疾患が多い原因として
気候・自然環境と人々の食生活が考えられます
まず気候・自然環境ですが、日本は周囲を海に囲まれ、年間を通して降雨量も多く、きわめて湿度の高い国です。
こうした気候・風土の土地では、水分の摂取はそれほど必要としないはずですが、最近の日本人は清涼飲料水、コーヒー、ビール、お茶など、多くの水分を摂っています。 しかも水分だけでなく、冷蔵庫の普及によって日常的に冷えた冷たい飲食をしています。そのために胃が冷やされて、胃の機能が低下し、胃と密接な関係にある脾の機能も低下しているのです。
胃を冷やすのは冷たい飲食だけではありません。刺身などの生の魚や生野菜、果物も中医学的には涼性・寒性の食べ物なので、胃を冷やすということになります。
このように現代の日本人は、水分摂取の過多、冷たすぎる飲食の過多、というおよそ風土にあわない食生活を日常的にしているので、胃脾がダメージを受けているといわざるを得ないのです。
ストレスの蓄積が考えられます
文明が進歩するのは、わたしたちの生活が豊かになって大いに結構なのですが、それと反比例して精神的にはストレスが多い社会になったように感じます。
ストレスによって、中医学的には肝気鬱結(かんきうっけつ)となり、更には相剋の関係にある脾の働きも障害される、その結果、水分代謝機能も低下して、痰・湿などという病理産物が生じるようになり、そしてそれらの体内に出来た病理産物が、外因である多湿な環境と感応しあって起こるのが、アレルギー疾患といえるわけです。
そう考えると、今なぜアレルギー性疾患がこのように多くなってきたのか、のナゾが解けるのではなかろうか、と思うのです。そうです。
日本にアレルギー性疾患が多い理由は・・・
【1】 気候・風土が高温多湿であること。
【2】 気候風土を無視した、水分と冷たいものの過剰摂取。
【3】 ストレスの多い生活環境。
なのです。
それでは、最後に食性が涼性・寒性の食品を列挙しておきますので、アレルギー性疾患をお持ちの方はこれらを控えるようにしてみてください。
大麦(涼)、カニ(寒)、カキ(寒)、きゅうり(涼)、小麦(涼)、ごぼう(寒)、昆布などの海藻(寒)、里芋(寒)、スイカ(寒)、 大根(涼)、冬瓜(微寒)、ナス(微寒)、白菜(微寒)、バナナ(涼)、びわ(涼)、ほうれんそう(涼)、緑茶(涼)、レモン(微寒)
店主(北京中医薬大学日本校卒業)