食べ過ぎ・飲み過ぎの漢方的対応

2011年1月

明けましておめでとうございます。
今年も「よもやま話」そして岡田厚生堂薬局を宜しくお願い申し上げます。

さて、平成23年はどのような年となるのでしょうか。
年頭に当たり、世界の平和と人類の健康を心より祈念申し上げます。

ところで今回の「よもやま話」は年末・年始の食べ過ぎ・飲み過ぎの漢方的対応について記していきたいと思います。

 

日本の年末そして年始はとかく食べ、飲む機会が多くなります。

そして、これ等を経過したあとは誰もが決まって胃腸の状態が悪くなるものです。その様な時にどの様に対処すれば良いか、東洋医学的には2つの事に留意せねばなりません。

1つめは、食べ過ぎ・飲み過ぎによって疲れた脾胃を回復させること。
2つめは、特に飲み過ぎによってつくられた湿邪、熱邪を除去することです。

そしてこれ等の処置を致しませんと、脾胃機能の低下のままに過ごしてしまうこととなり、人体に備わる免疫力・抵抗力が低下し、風邪・インフルエンザなどの感染性疾患にかかりやすくなります。

1月中旬頃までにはしっかりと対処しておきましょう。

と、いう事で次に「食べ過ぎ」によってもたれた胃腸にはどのような対処が良いか。

中国には「保和丸(ほわがん)」又「大山ザ丸(だいさんざがん)」という消化促進に良い漢方薬があります。

これ等の処方は穀類の消化を助ける神麹(しんぎく)、麺類の消化を助ける麦芽、肉類の消化を助けるサンザシなどが使われており、中国の一般家庭では食べ過ぎや消化不良などに幅広く使われています。

しかし、日本にはこれ等の処方がありませんので、これによく似た晶三仙を入手し、飲まれたら良いでしょう。

また胃弱タイプでお腹が張る、ゲップが出る、下痢しやすいなどの症状を伴う消化不良には六君子湯(りっくんしとう)・香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)などの益気健脾薬(えっきけんぴやく)を服用すると良いでしょう。

 

次に飲み過ぎによって荒れた胃腸にはどのように対処すれば良いか。

酒は東洋医学から考えると湿(不要な水分)と熱を生じる作用がある為、胃腸の働きが低下し、水分代謝もうまくゆかず、不要な水分は多いのに体に必要な津液が作られない為、ノドが渇くといった症状がでてくるようになるのです。

そしてこの状態を放っておき、飲酒を続けていると湿邪・熱邪の停滞そして肝臓疾患へと好ましからざる状態を形成していくのです。ですから早めに対処しなければいけません。

このような状態を改善するためには、体内に貯まった湿邪・熱邪を速やかに取り除くいんちん五苓散(いんちんごれいさん)・星火温胆湯(せいかうんたんとう)などを服用すると良いでしょう。

両薬とも熱邪をとる生薬、そして利尿作用に優れた生薬が配合されているので、酒呑みには大変便利な処方といえるでしょう。といって酒はあくまでもほどほどに、が原則である事に変わりはありません。

ということで、当店では本年度も更に相談力を高め、皆様の色々なお悩みにお応えしていこうと考えております。是非、ご相談においでくださいませ。

尚、当店では中医師(中国の漢方医師)林建豫に週一回来ていただいております。

林建豫は中国では助教授資格も取得しておりますし、西洋医学、東洋医学の両医学に明るい実力者です。

どんなご相談にも応じますが、特に不妊相談、また皮膚科疾患のアトピー性皮膚炎などを得意としております。当店の相談でめでたくお子様がお出来になった症例、また難治性といわれる尋常性乾癬などが改善された症例などがございますので、あきらめずにご相談にいらしてください。

それでは本年も、この「よもやま話」と当店へのご愛顧宜しくお願い申し上げます。

 

店主(北京中医薬大学日本校卒業)

 

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