2011年5月
5月を迎えました。
本来なら陽気の良さにつられてレジャーなどに繰り出したいところでしょうが、先の震災で被災された方々の事を思うと、そんなことは言っていられないでしょう。
被災された方々、避難されている方々へは一刻も早く元気を出せますよう、また通常の生活に戻れますよう、私たちも更なる支援・そして応援をしていきたいと思います。
さて5月のよもやま話は、春の養生その2として、肝郁、つまりストレスを受けた肝の状態を改善する逍遥散(しょうようさん)について記していきたいと思います。
前回も記したように、春は五臓のなかでは肝と関連する季節です。そして肝は疏泄を主どる、といわれるように気血を円滑に流すことを仕事とする臓器なのです。
しかし、生来肝の疏泄機能が弱い人にとっては春の陽気は肝の負担となります。
日本人の体質は案外こういう人が多いのですが。。。。
このように春は疏泄機能が弱い人にとっては体調管理が難しい季節となります。そこでこのような人にとって、否、多くの日本人にとって春に必要な漢方薬が逍遥散(しょうようさん)ということになるのです。
逍遥散(しょうようさん)は、肝を補い、気の流れを良くすることで体全体の新陳代謝を正常化する目的の漢方薬で、古代中国の哲人荘子が仙境に入ってのびのび自由に生きることを”逍遥”と呼んだことに因み、その名がつけられたことからもわかるように、うっ滞した肝の機能を回復し、のびやかな精神活動を取り戻してくれる漢方薬です。
それでは春の季節に活躍できる逍遥散(しょうようさん)について次に記してみることといたしましょう。
逍遥散
構成
柴胡(サイコ)・薄荷(ハッカ)・当帰(トウキ)・白芍(ビャクシャク)・白朮(ビャクジュツ)・茯苓(ブクリョウ)・甘草(カンゾウ)・生姜(ショウキョウ)
効能
疏肝(そかん)・養血(ようけつ)・健脾(けんぴ)
主治
血虚をともなう肝気うっ結
解説書では、上記のように記されておりますが、易しく直しますと、精神的ストレスによる諸症状(イライラ、抑うつ、食欲不振、下痢や便秘を繰り返す、頭がふらつく、手足のしびれ)に有効である、ということになります。
とかくストレスを抱え込みがちな日本人は、ストレスにより肝に蔵している血が消耗しがち、となります。肝血(かんけつ)が不足すると人体はどうなるのか?
そう、ストレスに弱くなるのです。
また季節では春に弱くなります(春は精神的に不安定になりやすい為)。
ということで逍遥酸の解説を終えますが、日本では逍遥酸の丸剤タイプである逍遥丸として出ております。また漢方薬をお求めの際は、しっかり勉強し適切なアドバイスが出来るお店を選びましょう。
「春と肝とストレス」まとめ
肝・・・気の流れを調節する血(血液)を蓄える
肝の機能の低下・・・感情が不安定になる
春・・・肝気過剰(怒りっぽくなる)、肝気不足(抑うつ状態になる)
それではまた来月!
店主(北京中医薬大学日本校卒業)