2013年7月
7月を迎えました。
7月は初旬から中旬頃までは梅雨で、じめじめとしたうっとおしい期間が続きますが、梅雨が明けると一転、暑い日が続きます。
このことを中国漢方的にいうと、中旬までは湿邪(しつじゃ)に悩まされ、下旬になると暑邪(しょじゃ)に悩まされる、ということになります。
ということで、今回は「癌との付き合い方」をお休みして、7月の特徴である湿(しつ)、そして暑(しょ)の邪気、そしてそれにより起こり易い病気について書いていくことと致しましょう。
まず、梅雨期に多くなる湿(しつ)の邪気についてですが、湿(しつ)の邪気で影響を受けやすいのが脾の機能です。
漢方の五行説に「脾は湿(しつ)を悪(い)む」という言葉がありますが、この言葉の意味するところは、脾という消化器系統は、湿(しつ)の邪気を嫌う(機能を失調させる)という意味です。
つまり、脾は梅雨期のような外湿あるいは水分を摂り過ぎることによる内湿を大変嫌い、その機能を低下させるのです。
従って、梅雨期は脾の機能失調が起こり易いので、十分消化器系統をいたわりましょう。そしてその為にはキヨーレオピンあるいはレオピンファイブネオなどの滋養強壮剤、胃腸の症状を改善する作用のある勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)、体内の湿気を除去する平胃散(へいいさん)などの漢方薬を服用するとよいでしょう。
次に7月中旬以降の暑(しょ)の邪気ですが、五行説では脾と同じように「心は暑(しょ)を悪(い)む」という言葉があります。
つまり心という循環器系統は暑(しょ)の邪気を嫌い、その機能を低下させるのです。
事実、夏は暑(しょ)の邪気により「熱中症」や「脳梗塞」などの循環器疾患が起こり易いので、十分注意いたしましょう。
ということで、夏の養生方法はどうするか、まず第一に「梅」の活用です。梅には次の3つの効能があります。
唾液の分泌を促し、体液を生み出す
汗腺を引き締めて汗のかき過ぎを抑える
抗菌、抗アレルギー
ですから、毎日の食卓に、また戸外にでるときは梅干をなめて外出する、といった配慮が大切です。
漢方薬では、まず第一に気陰(きいん)を補う麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)、そして心脾を健やかにする人参牛黄(にんじんごおう)、これらの漢方薬が最もおすすめです。
心熱を清(さ)ます牛黄清心丸(ごおうせいしんがん)や、血液のドロドロを防ぐ冠元顆粒(かんげんかりゅう)も、忘れてはならない夏におすすめの漢方薬です。
夏は暑邪(しょじゃ)に気をつけると同時に、冷たいものの摂りすぎによる脾の機能低下にも注意し、生姜や紫蘇など、胃腸を温めるものを薬味として積極的に活用しましょう。
ということで、7月は湿邪(しつじゃ)と暑邪(しょじゃ)に要注意の月です。
7月を養生しながら過ごすと、8月の熱中症、秋にでる夏負けなども予防できるでしょう。
それではまた来月・・・。
店主(北京中医薬大学日本校卒業)